ウォーキング途中の川岸に,一本のイチョウがある.この実は,秋の季語でもあり,秋に実るものだと思っていたが,6月には既に緑色のサクランボのような実ができている.
僕は,銀杏の実が大好物である.あの匂いも決して悪く思わない.小学生の時に,父に,拾った実は,炒って食べられることを教えてもらった.うまいと思った.小学校の校庭に大きなイチョウがあった.秋の終わりに沢山の実が落ちていた.そこで,その日は,友達を誘って,それがうまいものだと教え,放課後に実を拾い,水道で果肉を洗い落とし,家に持って帰った.翌日,先生にこっぴどく怒られた.流しに果肉をそのまま捨てたので,管が詰まってしまったのだ.この頃から,銀杏の実が大好物だ.
大学時代に,当時付き合っていた彼女の大学に大きなイチョウの木があるというので,銀杏の実を一緒に拾いにいった.僕が木に登り,彼女が下で実を拾った.近所のおばさま達も寄って来て,一緒に拾わせてくれと言われ,僕は管理者でもないのに,「どうぞどうぞ」と言ってみんなで拾った.通っていた大学の前にもイチョウがあった.そこで実を拾っていたら,大学の守衛さんに注意された.それぞれに縄張りがあるので,手を出すな,というのである.こんなところにもそんな暗黙のルールがあるのかと驚いた.
拾った実は炒って熱いうちに殻を取り,内側にある薄皮をつるっと取って食べると最高にうまい.冷めると実に薄皮がへばりついて取れなくなる.社会人になってからも,銀杏拾いをしては,一度に40粒程度は食べていた.ある日,嫁から,銀杏の実は食べ過ぎると良くないと注意された.後で調べたら,食べ過ぎて死んだ方もいるそうだ.危なかった.
イチョウは,とても古い植物で,針葉樹でも広葉樹でもない特別な種なのだそうだ.長く付き合ってきた身近な樹種なのだが,あらためて敬意を表したくなる.

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